ピジョン

 2010年度の前期で特殊実験の数あるテーマから、私は「ハトの動機づけ操作」を選択した。そして、何回かの講義と講習を終え、昨日から実験に使用するハトが割り当てられた。私の担当するハトは非常におとなしい。ケージの中に手を伸ばして、捕まえようとしたときも、すんなりと手の中におさまってくれる。
 ハトを手にしたら、まずは健康状態のチェック。羽に虫がついていないか、下痢を起こしていないかなどをチェックする。そして、体重を量り、餌を補充。さささっと行えば、10分もかからない。もう少し手間がかかったりした方が、あるいみかわいいのかなとも思うが、おとなしいのもそれはそれでかわいいものだ。
 さて、ハトを使用しての特殊実験をしていて思うが、こういった経験もほんまに重要なんだなと感じる。なかなかハトを使用しての実験を体験するのもないことだと思う。とてもいい。これでもし、人だけを対象としているような状態であったら、もしかしたら得ることができないものもあるのではないかと思う。どういったことを得ることができるのかは分からないが、後期には人を対象としたテーマを選択するので、そのときに、わかるんじゃないのかなと。
 心理学の分野に比較心理学がある。これは、端的に言うと、人以外の動物と人を比較することにより、人の行動のメカニズムを研究する分野である。行動分析も数多くの理論を、動物を対象にした実験で、その理論を構築している。そのようなところからも、今回私がハトに触れ合っているのも、非常に意味あるものなのではないかと思う。
 とかく、一つ一つが貴重な経験であることを実感しながら、技術を磨くだけではなく、実験を通してでも、私自身の人格の成長につながればと思うものである。