学問史を学ぶこと

はじめに

 どのような学問でもその学問か成立した歴史、つまり学問史を学ぶことは非常に重要である。どのような起源を持ち、どのような変遷をたどってきたのかを知ることで、自らの研究がどの位置にあるのかが明らかになる。

心理学と行動分析学の重要な年

 例えば、私が専門とする心理学では1879年が重要な年となっている。また、さらに専門である行動分析学では1913年も重要だ。1879年はヴェルヘム・ヴントがドイツのライプツィヒ大学でカリキュラムとして心理学事件室が開設された年であり、これが近代心理学の幕開けの年となっている。それまでにも、著名な心理学者と思われている人物はたくさんいる(eg., パブロフ、エビングハウス、フェヒナー)。心理学研究の有名な実験は現代のものとは異なり、心理学者によって行われたものは少ない。生理学や医学からの影響が強い。例えば、「パブロフの犬」で知られているパブロフも心理学者ではなく生理学者であり、ノーベル生理学賞を受賞している。
 そして、1913年にワトソンによる「行動主義宣言」があり、情報科学の発展とともに認知科学が成立。その認知科学の一つとして認知心理学(≒情報処理心理学)が発達していった。認知心理学パラダイムは現在の心理学でが主流ともなっている。

気になること

 しかし、なによりも心理学を学んでいない人にも知られているのが精神分析の祖であるフロイトであろう。フロイトは精神医学者であり心理学者ではない。だが、この当時に主流であった人の行動の原因が遺伝的なものであることよりも環境的なものであると重視してその理論を体系立てた。フロイト精神分析を確立させて言った当時の社会的背景は、抑圧的であり(とくに性に対して)、そのためかもしれないがイメージを性的なものへと結びつけることが多い。ちなみに、フロイトの弟子であるユング集合的無意識を提唱したが、フロイトはそれを否定し続けていた。

心理学の主な潮流

 心理学の主な潮流は「認知主義」「行動主義」「精神分析」の3つであったが、「人間性心理学」なども入り非常に複雑化している。しかし、何でもヒトを含めた生物を対象としている限りどのようなものであっても抱え込めるのが心理学の魅力でもあると思っている。研究方法としては量的研究と質的研究と大きく2分されるところもあるが、今後はどのように心理学が発展していくのかが楽しみである。一部は神経科学に吸収されていく傾向があるようにも思えるが。

【コメ】

 とまぁ、まとまりがないが書いてみた。私が専門としてる行動分析学はいったいどの立場にあるのだろうかと非常に悩ましいんだけど。科学哲学的には反実在論な気もするが、まだ私の中ではしっくりとはきていない。